日銀は17日の金融政策決定会合で、新型オペレーション(公開市場操作)の規模を倍増する追加金融緩和策を決定した。もとより、たかがオペ。倍増したところで、その効果は知れたもの。今回の決定は、ただひたすらに、永田町に向けて日銀の緩和姿勢をアピールするための「緩和ショー」なのだ。

 どうせショーならば、派手な演出、迫真の演技で観客を納得させてもらいたいところ。しかし、生真面目な白川方明総裁にそんな演技を期待しても無駄だ。恐らく、「緩和ショー」は今後も続くことになるが、芝居ベタの役者が演じ続ける限り、白けたものになるのは確実だ。

効果の無いオペを倍増する効果は?

生真面目なので派手な芝居は苦手です

 日銀は2009年12月1日の臨時金融政策決定会合で「新型オペで10兆円を資金供給する」という追加緩和策を決めた。今回の決定で、供給額を10兆円から20兆円に一気に倍増する。

 と言うと、大胆なことをやったように聞こえるかもしれないが、もともと大した効果が期待されていないオペ(新型オペの詳細については2009年12月3日付「日銀追加緩和のお寒い実態」を参照してもらいたい)を、さらに増額したところで目覚ましい効果が出るはずもない。週1回8000億円で実施していたものを週2回ペースにし、3カ月後には残高が20兆円になる、という計算上の数字だ。

 その効果を一応解説してみよう。固定金利による資金供給を増やすと、3カ月物の金利は0.1%前後に押し付けられる。そうなると、期間2年ぐらいまでの市場金利は低下圧力が強まる。

 ただ、2年物の国債利回りは既に0.14%前後と限界的な水準まで低下しており、「0.14%が0.1%まで下がっても、経済効果は微々たるもの」(都銀)と受け止められている。

「景気持ち直し」でも「金融緩和」の支離滅裂

政府も頑張るので、日銀も頑張るように!

 実は同日の決定会合で、日銀は「国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している」として前向きな景気判断を維持した。

 通常、金融緩和策は景気悪化や市場の不安定化に対応するものだ。しかし、今回は「景気が持ち直している」のに「一段の金融緩和策」に打って出たことになる。経済・金融情勢に基づかない政策変更の背景にあるのが政治的要因であるのは自明である。

 2009年11月に「デフレ宣言」を行った政府だが、税収が落ち込む中での財政出動余地は乏しく、経済運営は手詰まりだ。そこで菅直人財務相らが「日銀と一体になって」との決まり文句を繰り返し、デフレ脱却の責任の一端を日銀に押し付けてきた。