マット安川 今回のゲストはオピニオン誌「月刊日本」の南丘喜八郎主幹。いつもはっきりとした物言いで世相を切ってくれます。今回は日米間の歴史から見たTPP問題などをうかがいました。
「逃げすぎ」の野田首相は、政治家の名に値しない
「月刊日本」主幹(撮影:前田せいめい、以下同)
南丘 野田(佳彦・首相)さんは日本をどうするか、という基本的なビジョンを持っていません。国民に対して、私は何をやろうとしているのかということをいっさい表明していない。
にもかかわらず、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を決めた。衆参両院で集中審議を3時間半やった時に彼は何と言ったか。態度はまだ決めていないと言ったんですよ。しかし、その日の夜の記者会見で、交渉参加を決めたと表明した。
最初から分かっていたわけです。ならばなぜ集中審議で、私は交渉に参加するということを前提にして議論をしないのか。野田さんは逃げすぎ、卑怯極まりない。政治家の名に値しないと思います。
そもそもTPPは、昨年12月に横浜で行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で菅(直人・前首相)さんが参加したいとの意向を表明したわけですが、それまでTPPなんて日本の新聞にほとんど出てこなかった。要するにみんな知らないんです。
この1年の間に本当に議論したのかというと、ほとんどしていない。それで参加することを表明しちゃった。こんなバカなことがありますか。
TPPに関しては内閣の中でも意見が違っています。反対者がいっぱいいる。しかし、みな個人的には反対だけど、野田さんがおやりになるというのなら意見を言いませんと。
小泉(純一郎)政権の時に郵政民営化の問題がありましたが、この時に最後まで反対した人が閣内にいました。島村宜伸(当時農林水産大臣)さんです。小泉さんは彼を罷免した。野田さんはそこまでやらなければいけない。議論を尽くさなければいけません。