東京・駒込と埼玉県・坂戸市にキャンパスがある女子栄養大学の学生食堂は、「バランスがよく低カロリーでおいしい定食が食べられる」と、学外の一般客が詰めかけている。この学食のメニューを紹介したレシピ本『女子栄養大学の学生食堂』も人気だという。
糖尿病や高血圧などの原因になる食習慣、「栄養」に無頓着な日本の医療行政や地域での栄養改善の取り組みと成果について、女子栄養大学の香川芳子学長に聞いた。
糖尿病も高血圧も劇的改善。食事を変えれば医療費は減る!
川嶋 ヘルシーランチで話題になった、タニタの社員食堂の栄養士さんはこちらのご出身だそうですね。震源地はココかとばかり、最近は女子栄養大学にスポットが当たって、学食にもお客さんが大勢来るとか。
香川 近くにお勤めの方などは以前からお見えになっていましたが、ここにきて確かに外からのお客様が増えました。
川嶋 人気の秘密はどこにあるんでしょう。
香川 タニタの栄養士になった卒業生もそうですけれど、「四群点数法」といううちのやり方を、ただただ実践していることでしょうか。
簡単に言いますと、食品を4つのグループに分け、それぞれを点数化することで栄養のバランスを取る方法です。
第1群は乳製品と卵、第2群は肉、魚、豆類、第3群は野菜、イモ、果物、第4群には米などの穀物のほか、砂糖や油などが含まれます。
川嶋 主食の米が最後にやっと出てくるのが意外ですね。
香川 第4群の食品は皆さん大好きで、お腹が空くとまずそこに飛びつきます。でもそれらはエネルギーばかりが多くて、大切な栄養分はあまり含まれていないんです。だからまずはタンパク質やビタミン、ミネラルを摂りましょう、と。
具体的には80キロカロリーを1点として、1日に第1群から第3群まで各3点ずつ食べるのが基本。それだけでは不足するエネルギーを、第4群で補うという考え方です。
川嶋 炭水化物でお腹をいっぱいにしては、必要な栄養分が足りなくなると。
香川 そうです。ちゃんと食べてるのに体の調子があちこち悪いという人は、たいてい第4群ばかり食べています。そこを直せば少々の体調不良はすぐに治っちゃう。
私どもの学内には栄養クリニックがあります。これは学校創設者の香川綾が1968年に始めたものですが、クリニックにいらっしゃる患者さんは3カ月もすると生まれ変わったみたいに元気になるんです。一番効果が分かりやすい単純性肥満のほか、高血圧も糖尿病もウソのように改善します。