MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

 今回のオリンパスの不正経理(疑い)問題については全国で内視鏡を行なっている医師たちはもっと怒りの声を上げるべきである。

 オリンパスは内視鏡シェア世界75%、日本ではそれ以上を占める大企業である。しかもその凄いところは内視鏡本体だけでなく、内視鏡消毒洗浄機、内視鏡検査用の各種デバイス、処置用各種デバイス、小さな小物に至るまで、ほぼ全て関連する製品をほぼ網羅していることでである。

 さらには他社が開発したらすぐに改良版を出すとういう、したたかな面ももっている。胃瘻キット、カプセル内視鏡、バルーン付き小腸内視鏡などなど。したがってほぼ独占企業の状態であり競争がないため、値引きはほとんどしない。

 さらにいろいろなアイデアを多くのDr達からもらい各種製品を開発するにも関わらず、特許はほぼ独占し、アイデア考案者には全く恩恵を与えていない。(例、クリップ装置)(最近は少し軟化したとの情報もあるが。)

 私が専門とする内視鏡的粘膜下層剥離術の保険点数は胃1万3000点、食道1万7000点。オリンパスのほとんど値引きしないESD用処置具は1本約3万円で処置で、たいがい2本は使用する。(もちろんマルメ)ということは、我々がおこなう治療で13万円が病院に入るが、オリンパスの取り分が異常に多いため人件費、薬剤費、その他もろもろあわせると赤字ということ。

 内視鏡で治療すればするほどオリンパスはもうかり病院は赤字が増える。そのため我々内視鏡医は涙ぐましい努力で処置具をできるだけ使わないようにしたり、安いものを使ったりすることを行い、病院からもそれを要求される。

 そういった独占的商法で儲けたお金を何百億も得体のしれないケイマン諸島のアドバイザーに払ったりしてドブに捨てる(捨てたふりをする)のは、内視鏡を使用する世界中の医療従事者を愚弄するもの以外なにものでもないと思う。