タイの大洪水の影響でパソコンのサプライチェーン(部品の調達・供給網)が危機的状況になりそうだと米欧のメディアが伝えている。
とりわけ問題となっているのは、ハードディスク装置(HDD)大手ウエスタン・デジタルの工場。
同社は17日、タイの主力工場があるアユタヤのバーンパイン工業団地の堤防がこの週末に決壊し、製造装置の一部が水没したと発表した。
ウエスタン・デジタルはバンコク北部のナワナコン工業団地にも2番目の規模の工場を持つが、この工業団地にも現地時間17日午前から浸水が始まっており、危険な状態という。
業務への影響「甚大」
これに先立つ12日、同社は洪水被害で減産の恐れがあると警告していた。同社は今年4~6月期にタイとマレーシアの工場から5400万台のハードディスク装置を出荷しているが、タイ工場はそのうち6割を占める重要な拠点。
今回の洪水で主力工場が操業停止の期間延長を余儀なくされ、業務への影響は「甚大」としている。
タイでは、ウエスタン・デジタルの競合である米シーゲート・テクノロジーも工場を持っており、米メディアによると現在、世界のハードディスク装置の6割がタイで生産されている。
シーゲートの12日付の発表によると、同社の工場には被害はないが、サプライチェーンが寸断されたことで、10~12月期における製品の供給が限定的なものになるもようだ。