世界のHDD市場を支配する大手2社

タイ・アユタヤなどで大雨による洪水

浸水した寺院を歩く僧侶〔AFPBB News〕

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 ウエスタン・デジタルとシーゲートはともに世界のハードディスク市場で大きなシェアを持つ企業。

 ウエスタン・デジタルは今年3月に日立製作所のハードディスク事業子会社、日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)を買収する計画を発表しており、シーゲートも韓国サムスン電子のハードディスク事業を買収することで合意している。

 市場調査会社によると、それぞれ買収後のシェアは、ウエスタン・デジタルが50%、シーゲートは40%。この2社で世界のハードディスク市場をほぼ独占することになる。

 こうした大手の主力工場の復旧に時間がかかると部品の供給が滞り、パソコンメーカーにも打撃になると懸念が広がっているのだ。

 米ウォールストリート・ジャーナルは、「タイはハードディスク装置の部品メーカーが多く、長期にわたる操業停止は、東日本大震災の被害よりも大きくなる恐れがある」などと伝えている。

HDDメーカーが直面するもう1つの課題

 一方で長期的に見ると、ハードディスク装置メーカーはより大きな問題に直面する。

 米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」や、薄型ノートパソコン「マックブックエア(MacBook Air)」、米グーグルのモバイルOS(基本ソフト)「アンドロイド(Android)」端末などに代表されるように、今、記憶装置はハードディスクではなく、半導体ディスク(SSD)を採用する動きが始まっている。

 現在のところ、半導体ディスク搭載パソコンの全パソコンに占める割合は小さいものの、この流れは止められないと見られている。

 とりわけ、タブレット端末への消費者の感心が高まる中、この動きが加速すればパソコン販売は低迷し、ハードディスクの需要は一気に低下すると言われている。