9月24日の政権与党「統一ロシア」の大会でドミトリー・メドベージェフ大統領が次期大統領にウラジーミル・プーチン首相を推薦し、プーチン首相も衆目の中でこれを受諾した。2012年3月の大統領選ではプーチンを脅かす候補が見当たらないことから、これで次期6年、あるいは2期12年にわたるプーチン大統領の時代が再来することになる。(文中敬称略)

メドベージェフが続投できなかった理由

大統領選候補者にプーチン氏、ロシア与党

来年大統領に返り咲くウラジーミル・プーチン首相〔AFPBB News

 メドベージェフはプーチンから次期政権での首相(つまり自らの後任)となるよう要請され、これを受け入れた。

 従って2人のコンビが終わりになることにはならないが、メドベージェフが続投しなかった(できなかった)理由について、当然ながら各方面からの憶測を多々生んでいる。

 プーチン自身は「この交代がかなり前から2人の間で決められていた」と述べているが、交代劇以前およびその後のメドベージェフのあたかも無念さがにじみ出るようなメディアへの反応を見ると、この話はにわかには信じ難い。

 結局は、4年間の試用期間にメドベージェフが合格しなかったことがプーチン再登板の理由だったと見るしかない。

 これは、彼を大統領に引き上げたプーチンの眼鏡に狂いがあったことを物語る(そんなはずはなかろうから、やはりメドベージェフ続投だろう、と見た筆者は予測を誤った:本欄5月23日)。

実績と言えばグルジア紛争での勝利だけ?

 勘繰れば、メドベージェフを首相として政権の主要プレーヤーに残す体裁を作り、プーチンは自らの見立ての失敗を幾分かは覆うとしているのかもしれない。

 メドベージェフが落第した理由については、ラジオ局「モスクワのこだま」のベネディクトフ局長が交代劇の10日前に明確に語っていた。彼によれば、これまでの3年半で何ら見るべき実績を挙げてこなかったことに尽きる。

 今年に入ってからの世論調査でも、メドベージェフの実績は何かという設問に対して、対グルジア紛争勝利が38%、汚職撲滅運動が3%、そして答えられない、が52%、というものだったという。

 予想しなかった2008年のリーマン・ショック襲来で、脱エネルギー・高付加価値経済実現が進展しなかったことを不運として割り引くにせよ、である。