ここでは「有機アルファルファ」とは必ずしも言われず、BIOの店舗だけに関心が集中することはありませんでした。
が、これに先立つ「スペインのキュウリ」の噂に際しては「化学薬品を使わないBIOは、普段は健康に良いけれど、いざ病原菌などが来た時は弱いのではないか」という風評を、世間に撒く面もあったようです。ドイツ政府の会食などでも、そんな話題を交わしました。
いや、その実、BIO食品だけが菌などに弱い、などということはあり得ません。まあ、例えば牛肉や豚肉などのNON-BIO製品で、飼育中に抗生物質を使っていれば、牛や豚は病気にかかりにくいかもしれません。でも精肉してしまったあとに感染するなら、病原性大腸菌の巣になり得る、という意味で、大きな違いはないでしょう。
緑の党がすでに伝統を誇りつつ一大勢力を持ち、常時健康ブームが続くようなドイツでありますが、O-104のような病原性細菌の前に古典的な近代疫学が有効といった風評も立ち、あおりを食って少なくともこの時期、有機野菜の売り上げは一定以上落ちたように聞きました。
ダイオキシン卵問題
ドイツではダイオキシン禍にも襲われた(写真はケルンのスーパーに陳列された卵)〔AFPBB News〕
さて、これに先立つ1年前、2010年の5月には、もう1つ典型的な「公害問題」がドイツ社会を襲いました。
一般スーパーで販売している生卵からダイオキシンが発見された、というのです。
調べてみると、経緯は次のようなものでした。ダイオキシンが発見された卵はドイツ北部、ニーダーザクセン州の農家が出荷したものでしたが、ここのニワトリたちはオランダ産の飼料を食べていました。
そしてこのオランダ製飼料の原料には、ウクライナ製の「オーガニックとうもろこし」が含まれていたというのです。で、このウクライナのとうもろこしが、どうしたわけかダイオキシンに汚染されていたというのです。
ウクライナのような地方では、経済成長に「オーガニック」農業が非常に有効です。以前なら高いお金を出して購入していた化学肥料や各種薬品。これを使わない方が、産品の価値が上がり値も上昇するというのです。
古くからの家畜のフンなどを使うことで、元手をかけずに、高い市場価値を持つ製品を作ることができる。オーガニック万々歳となるわけです。

