16年ぶりとなる政権交代がついに実現し、民主党を中心とする鳩山連立内閣が2009年9月16日に発足してから、はや3週間が過ぎた。
官僚批判を大々的に展開して民主党は総選挙で圧勝しただけに、政権発足当初から「政官対決モード」となり、政策運営が滞るのではないかと危惧されていた。しかし政権交代に伴う事務引き継ぎは、全体としてスムーズに進んでいるようだ。
新政権が「政治主導」を前面に押し出し、その帰結として「脱官僚」ではなく「脱官僚依存」を強調している点は高く評価できる。前回の「政権選択の魅力なき総選挙」で指摘したように、自民党政治が行き詰まったのは、低成長時代を迎えても「右肩上がりの経済モデル」を前提とした政治・行政システムを続け、政治責任を伴う政策決定までも官僚制に委ねていたからだ。
その結果、問題の先送りや既存秩序の温存を招いた。こうした閉塞状況を打破できて初めて、鳩山政権は本当の意味で「政治主導」を実現したと評価されることになるだろう。
官僚にとっても、「政治主導」は悪いことばかりではない。様々なしがらみや、内閣を構成する与党政治家の責任回避によって手のつけられなかった政策を実現できるきっかけともなる。
また、事務次官による記者会見の廃止は誰が各省庁を代表するかをはっきりさせ、次官を組織運営に専念させることができる。
新政権によるこの決定に大手メディアが急に批判を始め、「国民の知る権利を侵害する」とまで主張しているが、笑止千万と言わざるを得ない。大臣記者会見の機会が閣議後の週2回も保証されている上、庁舎への自由なアクセスが認められ、霞が関ばかりか全国の自治体にまで記者の快適なオフィスが用意されている国は、世界中を探しても日本以外にまずないだろう。