民主党・鳩山由紀夫新内閣の財務相に藤井裕久氏、金融担当相に亀井静香氏――。日本の政権交代が秒読みに入り、閣僚人事の報道合戦が繰り広げられていた頃、米ウォール街では、リーマン・ショックからちょうど1年後の取引が静かに始まった。

米リーマン・ブラザーズ、米連邦破産法11条を申請

あれから1年・・・〔AFPBB News

 2008年9月15日。資金繰り難に陥った米証券4位のリーマン・ブラザーズは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請に追い込まれ、史上最大規模の企業破綻(はたん)を記録。その後、金融危機は世界を巻き込んで一気に深刻化した。

 新聞もテレビも「未曽有の危機」を振り返る報道を繰り返しているが、ウォール街にとっては、遠い昔の出来事なのだろうか。「景気後退は収束したようだ」というバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言と、3年半ぶりの高い伸びを示した8月の米小売売上高を買い材料に、今年9月15日の主要株価指標は軒並み年初来高値を更新した。

 社債市場でも信用収縮はほぼ解消。原油や金など商品先物相場も活況を呈し、リスク投資は「リーマン前」に戻りつつある。ディーラーから「日本の政権交代? 別のトレーダーに聞いてくれ」とつれない返答を投げられるのも仕方がない。儲けのタネは地球の反対側でなく眼前にあるのだ。

利益偏重主義を戒めたオバマ大統領

 そんな過熱気味のマーケット中心部に、いきなり乗り込んできたのはオバマ大統領だ。「リーマン記念日」前日の14日、初代大統領ジョージ・ワシントンが就任演説をぶったウォール街26番地のフェデラル・ホールに政府や金融関係者らを集め、「金融救済と改革」と題する講演を行った。