ロシアを訪問しプーチン大統領と固い握手を交わした北朝鮮の崔善姫外相(11月4日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

2024年も残すところあとわずかになりました。今年、注目されたニュースや出来事についてJBpressでよく読まれた記事をもう一度お届けします。今回はロシアとの関係を深める北朝鮮と同国の軍事力に関する記事です。(初出:2024年11月8日)※内容は掲載当時のものです。

1. 露朝軍事同盟の今は昔

 旧ソ連と北朝鮮は1961年、「ソ朝友好協力相互援助条約」を締結した。

 その第1条には、軍事協力について「いずれか一方の締約国がいずれかの一国または同盟国家群から武力攻撃を受け、戦争状態に入ったときには、他方の締約国は直ちにその有するすべての手段をもって軍事的および他の援助を供与するものとする」と明記されていた。

 1961年に締結した条約が96年に失効して以降、公式的にはロシアからの北朝鮮への直接的な経済的援助や軍事技術援助はなくなった。

 武器支援はもちろん、兵器などの部品の供給すらしなくなった。

 ロシアと北朝鮮は2000年に軍事協力の規定がない「ロ朝友好善隣協力条約」を締結した。

 しかし、その後も冷却した関係は継続し、北朝鮮が要望しても軍事支援はなかった。

 ロシアは、兵器や石油製品の供与に対価を要求したので、北朝鮮はそれを支払うことはできなかった。

 この状態の関係がこれまでずっと続いてきた。

 ところが、ウクライナとの厳しく苦しい戦いを強いられているロシアは、戦局を有利にするために大量の弾薬や兵員の派遣が必要になった。

 中国やイランからの兵器やその部品の支援は得られるものの、兵員や弾薬は得られない。それを満たしてくれるのは北朝鮮だけだった。

 そこで、2024年6月「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。

 その第4条には、「どちらか一方が、武力侵攻を受け戦争状態になった場合、遅滞なく保有するすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」と軍事協力について明記されている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は新条約について、1961年締結の「ソ朝友好協力相互援助条約」にあった有事の相互軍事援助に近い内容の条約になったことを明らかにした。