(写真:アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが、主力の電子商取引(EC)事業で自社の広告を減らしていることが分かった。2021年にアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)が就任して以来、会社全体で行われているコスト削減策の一環とみられる。

アマゾン、24年の米EC広告費1000億円削減

 米広告業界誌「Adweek(アドウィーク)」が報じた。それによると、アマゾンは米国EC事業の広告費として2023年に34億ドル(約5200億円)を費やしていたが、24年1~8月は27億ドルへと7億円(約1070億円)削減した。

 同様のことは以前にもあった。年次報告書によると、同社は22~23年にも広告費を削減していた。そのときは、クラウドコンピューティング事業「Amazon Web Services(AWS)」や傘下のスーパーマーケット「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」など、様々なサービスや製品に関連する広告・プロモーション費用を、合計で206億ドルから203億ドル(約3兆1200億円)に減らした。

 確かにこれらコスト削減策の効果は業績に表れているようだ。例えば、24年7~9月期の営業利益は前年同期比56%増の174億1100万ドル(約2兆6700億円)となり、過去最高益を更新した。それ以前の資料を見ても、24年4~6月期は91%増146億7200万ドル、24年1~3月期は3.2倍の153億700万ドルと、高水準を維持していた。

業績低迷で事業計画見直し、リストラも

 アマゾンは新型コロナウイルスのパンデミック初期に直営スーパーマーケットチェーン「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」を初出店した。しかし、その後の業績低迷を受け、実店舗事業の見直しを余儀なくされた。

 22年には、米国と英国で対面式の書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」、電子商取引(EC)サイトで高評価の商品だけを集めた店舗「Amazon 4-star(アマゾン・4スター)」、ショッピングモール内の小規模店「Amazon Pop Up(アマゾン・ポップアップ)」などを閉鎖した。このほか、自動決済のコンビニエンスストア「Amazon Go」の一部店舗を閉鎖し、Amazon Freshの新規出店を中断した。