明治神宮で配布される小冊子に記されている五箇条の御誓文(筆者撮影)

 先週の5月3日は「憲法記念日」だった。日本国憲法が1947年5月3日に施行されてから、今年(2018年)で72年目になる。

 ここ数年、憲法改正の是非をめぐって議論が活発になっている。だが、あいもかわらず「改正派」と「護憲派」の主張ばかりが際立って対立しており、実質的な議論が深まっているという印象はない。

 第2次世界大戦の敗戦後、占領下で作られた現行憲法に代えて「自主憲法」を制定すべしというのが右サイドの意見であれば、現行憲法は金科玉条のごとく一字一句も変えてはならないというのが「護憲派」の左サイドの意見である。だが、一般人の常識からすれば、ともに極論というべきだろう。

 現行憲法を廃止してゼロベースで新たに憲法を作り直すのは、革命やクーデターでもない限り不可能だし、そんなことを望む日本人はきわめて少数派であろう。日本国憲法は「硬性憲法」であり、タイのようにクーデターの度に憲法改正される「軟性憲法」ではない(参考:「タイではなぜクーデターがスムーズに行われるのか」)。

 ただし、たとえ日本国憲法が改正が困難な硬性憲法だとはいえ、72年間も一字一句も変えずにそのまま使用されているというのは、さすがに不自然である。環境変化にあわせた微調整あるいはチューニングが必要だろう。