前回は、低体温の恐ろしさとその原因について紹介したが、今回は体温を上げる方法について齋藤真嗣医師に取材した。
体温は、基礎代謝と密接に関わっている。基礎代謝とは、何もせずにじっとしているだけで体が消費するエネルギーを指す。前回も触れたように、人間が1日に必要とするエネルギー量の約6~7割は基礎代謝で、しかもその多くが体温維持に使われているのだ。つまり、基礎代謝が高いと、体温も高くなる。
そして、この基礎代謝の高低を左右しているのが、筋肉なのだ。筋肉は、人間の様々な臓器の中でも最も多くの熱を生み出している熱産生器官だ。齋藤医師はこう断言する。
「筋肉を増やせば基礎代謝は上がり、結果として体温も自然と上がります」
筋肉の7割は、へそから下にある
人間の筋肉は、基本的に20歳をピークに年々減少する。20代の中肉中背の男子の体に占める筋肉量の割合は約40%、女性では35%ほどだが、年に約1%ずつ減少し、70代になると約23~26%にまで減少する。
つまり、積極的に鍛えないと筋肉は減り、基礎代謝が落ち、体温も下がるのだ。
「鍛える」と言うと、スポーツジムに通ったりきついトレーニングを毎日続けることを想像して「自分には無理だ」と諦めがちだが、そうではない。
「人間の筋肉の7割は、おへそから下にあるので、歩くことが重要です。これは、私たちが思っている以上に効率よく筋肉を鍛えることができます。1日30分ウオーキングするだけでもかなり違います」