インフラ投資の主戦場は「物理レイヤー」へ

 アマゾンが世界各地で進める巨額投資は、AIインフラの物理的な基盤固めが真の目的だ。

 米国での大規模な政府向け投資や英国での拡充計画は、AI開発に不可欠な「電力」と「場所」を他社に先駆けて押さえる戦略を物語る。

 データセンターという物理的な資産の優位が、将来のデジタル覇権を決定づける要因となる。

 一方で、膨張し続ける投資額に対する回収の見込みや、電力消費による環境負荷も大きな課題として浮上している。

 生成AIの収益化(ROI、投下資本利益率)が期待通りの価値を創出できるか。持続可能なエネルギー網の構築を含め、インフラの巨大化に伴う社会的責任をどう果たすかが、同社の長期的な成長を占うカギとなる。

 それでも、移行プロジェクトへの投資は既に動き出しており、市場の関心は「主権の有無」という議論から、「どのレベルの主権を、どのコストで採用するか」という実利的な選択へと移りつつある。

 デジタルインフラがエネルギーや国防と不可分になった今、AWSの「大きな賭け」の成否は、欧州の独自デジタル政策の実効性を占う試金石となるだろう。

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