歴史的な大勝を受けて会見する高市首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 上席研究員・事務局次長)
2月8日の投開票を終え、いまこうしてキーボードに向かっています。まずは、今回の選挙に関わったすべての皆さまに感謝を申し上げます。与野党を問わず候補者および秘書・ご家族の皆さま、選対の皆さま、ボランティアとして駆け回ってくださった支援者の皆さま、そして何より、短期間での電撃解散にもかかわらず投開票と最高裁裁判官国民審査を混乱なく遂行しきった全国の基礎自治体と地方公務員の皆さまには、心からの敬意と感謝を表します。
どのような結果であれ、投票所に足を運んでくださった有権者の皆さまの一票一票は、この国の民主主義の根幹を支えるものです。その判断を真摯に受け止めたいと存じます。また、今回の選挙に際しましては、さまざまな関係先の皆さまにもご協力を賜りました。引き続きよろしくお願いいたします。
さて、蓋を開けてみれば大勝利に終わった自由民主党ですが、手放しで喜んでいる場合ではないというのが率直な感想です。獲得議席が300を超えるという、朝日新聞の情勢調査がほぼ的中するメガトン級の結果となりましたが、この議席数に見合った党勢が本当に伴っているのかと聞かれれば、難しいところです。
正直に申し上げると、公示直前のパネル調査などの数字が与党側から見るとそこまで芳しいものではなく、自民単独過半数いけるのかどうか?というようなものでありました。そこから選挙戦を経て、お訴えを続けていく中で高市自民への有権者の皆さまのご支持、ご支援がさらに集まったというのが実際ではないかと思います。
調査するごとに高市早苗政権への支持率は徐々に下がり、他方で新たに組み上げられた旧立憲民主党と旧公明党両党による中道改革連合さんの浸透が進んで、どこかでひっくり返されてしまうのではないか、という危機感は強くございました。
結果的に、想定以上に有権者の皆さまから支持される形での今回の大勝は、高市早苗さん個人の政治家としての底堅い人気と、それ以上に野党側の盛大な敵失に支えられた面が極めて大きいのではないかと思います。
転換点は間違いなく「NHK党首討論ドタキャン」問題でした。野党から「逃げるな」という強いご批判がありましたが、高市サイドはリウマチなどの健康問題を掲げて反論。結果として、多くの有権者の皆さまからは「早苗さん可哀想」という、見ているこちらが「え?」と思うような大変好意的な反応を頂戴したわけであります。
前後には「円安でホクホク」発言もあり、とにかく高市早苗さん本人のご発言で言いがかりをつけられないようにディフェンシブ的な発信を心がけ、言質を取らせない作戦になったのかなと思うところであります。
もちろん自民党側にも事情があり、地方組織の立て直しや党員の裾野拡大といった、自民党の地力そのものが回復したわけでは到底ありません。あくまで総理の高市早苗がやろうとしていることを自民党一丸となって支えるというイメージ選挙に終始する必要がありました。それ以上のことを言う必要がなかったのです。