これから始まる「ネオ55年体制3.0」
先にプレジデントオンラインでも書きましたが、いわば「ネオ55年体制」とも呼ぶべき状態がこれから始まるのです。
かつての55年体制では自民党と社会党という二大政党が国会で対峙していましたが、いまや野党はその機能を十分に果たせる状態にありません。となれば、実質的な政策論争は自民党内の主流派と非主流派の間で行われることになります。
官邸が打ち出す政策に対して、党内野党がブレーキをかけたり対案を突きつけたりする。昭和の政治、それも田中角栄さんの時代に逆戻りしたような党内力学が、令和の日本で展開されようとしているのです。良くも悪くも、日本の政策はしばらくの間、自民党内の派閥間の駆け引きで決まっていくことになります。
党内政局もさることながら、それ以上に心配しているのは高市さんご自身のお身体のことです。大勝利を受けての会見や党本部での様子を拝見しても、満面の笑みというよりは深い疲労が垣間見えました。リウマチの持病を抱えながら全国遊説に飛び回り、連日の街頭演説やハコでの演説をこなし、短期決戦の選挙戦を文字通り身体を張って戦い抜かれた。その激務は想像を絶するものがあります。
政権運営はこれからが本番であり、選挙戦以上に体力と精神力を長期にわたって消耗し続けるものです。相当に疲弊されているのではないかという体調面での心配は、素直に申し上げておきたいと思います。周囲の方々には、どうかしっかりとお支えいただきたいと願うばかりです。
個別の政策に目を向けますと、最大の焦点はやはり高市さんがやりたがっている看板政策「責任ある積極財政」の行方でしょう。このスローガンは響きこそ良いのですが、財政が厳しく円安局面が続く中で積極財政を推し進めるということは、端的に言えば放漫財政に資するものです。円安要因となり、すでに国民生活を直撃している物価高にさらなる拍車がかかるのではないかという懸念は、党務筋からも率直に聞こえてきます。
解散表明の際に高市さんが述べた「行き過ぎた緊縮志向の流れを終わらせる」という発言は、マーケットから見れば財政規律の放棄と受け取られ、実際に長期金利の急騰を招いたのは記憶に新しいところです。
あの辺は関係先総動員で余計な風聞が国内金融機関や霞が関官庁から出ないように最新の注意を払っておくべきところでしたが、なかなかうまく行かないのが選挙というものでありまして……。
公約策定を巡っては、政調会長であった小林鷹之さんが総理とかなりの論争をしたことも付記しておきたいのですが、高市さんが「こうしたい」といって、そのまま「ですよねー」といって通す党組織でもないのです。
小林さんは財政規律の観点から、公約に消費税減税を盛り込むにあたっては相当に踏み込んだ異論を唱えたと聞いていますが、最終的には高市さんの意向が押し通される形となりました。
このブレーキ役が今後の政権運営でどう機能するかは、大袈裟でなく日本経済の命運を左右する問題です。マーケットは政治家の言葉尻ではなく、実際の予算編成と政策実行を見ています。高市さんの経済ブレーンがどういう顔ぶれになるかも含めて、今後の動向を注視する必要があるでしょう。