選挙で大勝した後に大敗する日本政治の歴史

 そして何より、いわゆる「高市チルドレン」と呼ばれることになるであろう新人議員が大量に当選しています。もちろん、これはこれですごく素晴らしいことです。どうか、胸を張って国民のために頑張って欲しいという一念です。

 他方で、いちいち名前は挙げませんが、率直に申し上げて、身体検査が十分でないまま急遽擁立された候補者も相当数混ざっています。いままで問題含みだから本人が出たがっていても擁立を見送ってきた人物が、電撃解散の混乱の中で滑り込み、そしてそのまま当選してしまっているケースもあるかもしれず、そこは最大の懸念事項です。

 頭が痛い話ではありますが、いまさら私がそれを言っても始まりません。問題は、この方々を含めた大所帯が一枚岩で自民党政治を担っていけるのかということです。大勝によって党内に多様な――悪く言えば雑多な――勢力が膨れ上がった状態で、政権運営の統制をどう図るのか。

 現実的には、有力議員を中心とした勉強会なり議員連盟なりを組織して、新人教育と党内統制を同時に進めていく以外にないでしょう。放っておけば、早晩ほころびが出ます。身内のスキャンダルひとつで政権の足元が揺らぐリスクは、大勝した政権ほど高いのです。

 歴史は繰り返すと言いますが、選挙で大勝した後にはきっちり大敗が待っているのが日本政治の法則のようなものです。

 1986年、中曽根康弘さんの衆参同日死んだふり解散で圧勝した自民党は、わずか3年後の89年参院選で社会党のマドンナ旋風に飲まれて大敗しました。

 2005年、小泉純一郎さんの郵政解散での歴史的大勝利は、やはり4年後の麻生太郎さんの2009年政権交代選挙という形できっかり収穫されています。

 そして、2012年の安倍晋三さんによる政権奪還もまた然りであります。

 いずれも、選挙ですっげえ勝利をしたときにまいた種が、きっちり3-4年後に刈り取られていることになります。これは偶然ではなく、わずかな民意の振れ幅が議席数には極端に反映される小選挙区制度の構造的な宿命と言えます。

 今回の地滑り的大勝もまた、次の選挙で地滑り的に議席を失うリスクと表裏一体であることを、与党関係者は肝に銘じておくべきです。大勝のときにこそ反動で大敗の種がまかれ、その収穫は必ずやってくるのですから。そのときのために、何をしておくのかが、自由民主党の党としての知恵の部分になってくるでしょう。

 そうであっても、当面の政権運営においては別種の問題が待ち構えています。高市さんを中心とする官邸と、党本部との間での綱引き、対立構造が生まれることは避けられません。