ICEは今や準軍事組織、合衆国憲法は任意?

 ここで疑問が浮上する。このような独裁者がいるのであれば、誰が民主主義者など必要とするのか、という問いだ。

 実存する民主党が、トランプが自分たちに与えてくれたガラ空きのゴールを外すことはあり得る。

 トランプは移民問題を最も強い争点として大統領に就任した。米国民は暴力的な犯罪者が国外へ送還され、国境警備が強制されることを望んでいた。

 ところが実際には、トランプは移民・税関捜査局(ICE)を、5歳児を拘束し、年配の男性を自宅から引きずり出し、保育所から母親を連行し、非暴力的な抗議者を処刑する恐ろしい準軍事組織に変えた。

 米国民は急激に、こうした手法への反対姿勢を強めている。

 グッドの殺害を受け、副大統領のJ・D・バンスはICEと国境警備隊には「絶対的な免責」があると宣言した。

 バンスとその同僚は、猛烈なスピードで合衆国憲法を読み進めている。

 その解釈では、重要な修正条項――言論の自由を保障する修正第1条、銃を保有する権利を認める修正第2条、不合理な捜査や押収を禁じる修正第4条――はいずれも、都合がいいか悪いかによって、任意に適用されるものだった。

 独裁者になりたい有能な人物は、合法性の装いで自分の行動を隠し、学者と学者を戦わせるだろう。トランプは対照的に、自分自身に対して学者と愚衆とを結束させている。