これに対し韓国大統領府は「共同ファクトシートには具体的な投資履行時期は明記されていない」と釈明している。確かに合意文書には、米側の関税引き下げ時期や韓国側の投資時期についての具体的な記述はなかった。ただ、米国側は韓国の要請を受け入れ、関税を15%に引き下げる時期について「法案が韓国国会に提出された月の1日に遡及適用する」としていた。
韓国がすがった「柔軟な執行」条項
一方、韓国政府関係者は合意直後から投資時期の調整を示唆してきた。交渉を指揮した金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官は「計3500億ドルの対米投資を年間200億ドルずつ分割執行する」としつつ、「為替市場の状況を考慮し、市場に影響があれば時期と規模を調整できる」と言及。国内事情による遅延の可能性を早くから匂わせていた。
実際、今月(2026年1月)初め、具潤哲(ク・ユンチョル)副首相兼財政経済部長官は海外通信社とのインタビューで「現在のウォン安と市場の変動性が続けば、今年上半期の対米投資本格化は難しい」と発言。韓国メディアはこれを「為替負担を理由に投資を遅らせるという公式見解」と分析した。李大統領も1月21日の新年記者会見で、為替市場への強力な介入を示唆している。
これらの一連の発言は、合意文にある「柔軟な執行」条項を盾にした先延ばし工作とも解釈できる。しかし、中間選挙を控え、韓国の対米投資を自身の「功績」としてアピールしたいトランプ大統領にとって、この態度は許しがたい裏切りと映ったようだ。