クーパン「袋叩き」も引き金に
さらに今回の「関税引き上げ宣言」には、Eコマース企業「クーパン」へ異常な圧力をかける李在明政権への「警告」の意味も含まれているようだ。
「クーパン」は韓国最大のネット通販企業である(写真:Jaque Silva/NurPhoto/共同通信イメージズ)
韓国のオンライン流通市場で23%のシェアを握るクーパンでは、2025年6月から5カ月間、元職員の不正アクセスにより、史上最悪となる約3370万人の顧客情報が流出する事件が発生した。
韓国政府は、クーパン側が事件を隠蔽・矮小化したとして、懲罰的な意味合いを含む史上最大規模の課徴金1100億ウォンを賦課した。さらに、「TF(タスクフォース)」を設置し、過去の事件にまで遡及して全面的な捜査を開始。公正取引委員会と検察は、ハッキングとは無関係の検索アルゴリズム操作疑惑で家宅捜索を行った。
国家情報院は、情報流出に北朝鮮のハッキング組織「キムスキー(Kimsuky)」などが介入した可能性を指摘し、クーパンが株価下落を恐れて「北朝鮮によるハッキング」という安保事案を「元職員の単独犯」に矮小化しようとしていると疑っている。国情院はこれを国家安保事案と規定し、警察と共に大々的な捜査に乗り出した。
これに加え、国税庁は「企業の死神」と呼ばれる調査4局を投入し、米国本社への利益移転(域外脱税)疑惑を調査。労働部は労働環境を「現代版奴隷労働」とし、法務部はハロルド・ロジャース暫定代表ら主要役員の出国停止も検討しているとされる。まさに政府総動員での「クーパン袋叩き」である。
昨年12月30日、クーパンの大規模データ漏洩に関する国会公聴会で証言する同社のハロルド・ロジャース暫定代表(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)