5000台目の人型ロボットを出荷した中国のアジボット(2025年12月3日、写真:VCG/アフロ)
2026年の幕開けとともに、次世代産業の核心とされる人型ロボット(ヒューマノイド)を巡る米中覇権争いが新たな局面を迎えている。
米テスラのイーロン・マスク氏がロボティクスへの劇的なシフトを打ち出す一方で、中国勢は国家戦略の強力な後押しを背景に、2026年を「量産元年」と位置付け、商用化で先行を狙う。
テスラの「大転換」と現実に残る壁
米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、人型ロボット「Optimus(オプティマス)」を「史上最大の製品」と位置付け、企業価値の源泉を、電気自動車(EV)からAI・ロボティクスへと大胆に転換させている。
マスク氏は将来的に年間数百万台の生産を目指す構想を掲げる。その報酬パッケージの達成条件にロボットの販売目標を盛り込むなど、自身の報酬や会社の未来をこの事業に懸けている。
しかし、2026年に入った現在も、理想と現実の間には依然として大きな隔たりがある。
米CNBCの直近の報告によれば、公開イベントでのOptimusの動作の多くはエンジニアによる遠隔操作(テレオペレーション)に依存している。
人間のような繊細さと器用さを兼ね備えたロボットハンドの実現は、技術的に極めて難易度が高く、今なお大きな壁となっている。
米モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は「テスラにとって自動車は、他の技術を習得するための実験台だった」と分析する。
だが2025年、その足場となるEV販売で同社は中国・比亜迪(BYD)に首位を奪われた。本業が揺らぐ中、Optimusの早期実用化は、もはや単なるビジョンではなく、経営上の急務となっている。