外食産業のマーケティング素材に

「パリバゲット」や「ダンキン」といった大手ベーカリー・ドーナツチェーンも追随し、さらにはドチョンクをデザートとして提供する冷麺店や日本食レストランまで現れた。

 ドチョンクは、もはや一つのスイーツの域を越え、外食産業全体のマーケティング素材となりつつある。

 ドチョンクブームが映し出すのは、モノそのものではなく、「体験」を消費する時代の姿ともいえる。

 行列に並び、SNSに投稿し、限定感を共有する――。その一連のプロセスこそが価値の中心になっている。

 中東由来の素材と韓国的な「もちもち」食感を掛け合わせたハイブリッド・スイーツが、いま韓国を代表するトレンドとして海外メディアに取り上げられている事実も象徴的だ。

 ドチョンクは、いまの韓国社会の消費心理とSNS文化、そして不況下の欲望のかたちを、甘く、しかし鮮明に映し出している。