正しい心を持つ方法
正しい心を持つというのはどういうことだろうか。
第1に、利他。つまり、周りの人たちを幸せにするために努力を惜しまないこと。言い換えれば、他者のために自己の最善を尽くしきることである。
第2に、至誠。利他を実践する時に誠心誠意、真心から皆のことを思い、態度で示すことである。
第3に、知行合一。頭で考えるだけではなく、利他の想いを実践行動で示し、その結果に対する内省とさらなる実践を繰り返すことである。
そうすることによって周りの人たちが喜ぶと自分も嬉しくなる。
皆の幸せが自分の幸せと感じることに理屈はない。自分にそう思う自然な心が備わっているだけである。
その心(良知)が自分に備わっていることに気づくことは致良知と表現されている。
致良知に至れば、自分の心がいつも幸せを感じられるようにすることが大切であると考えるようになる。
いつもその幸せを感じられるようにするためには、周りの人と喜びを分かち合えるよう皆のために行動するようになる。その結果、いつも幸せを感じられるようになる。
以上のことを理屈で考えれば簡単である。しかし、それを頭で考えているだけでは身につかない。
実際に日常生活の職場や家庭において、何度も繰り返し他者のために自己の最善を尽くしきる経験を重ねることが重要である。
その積み重ねの中で、どのような状況においても、無意識のうちに他者のために自己の最善を尽くす姿勢が備わってくる。こうして正しい心を持てるようになる。
喜びを分かち合う方が喜びが大きい
自分一人で喜ぶより、周りの皆とともに喜びを分かち合う方が喜びが大きいと感じる経験は誰もが人生の中で実体験している。
それを常に実践できる力が自分に備わっていることに気づくには、繰り返し実践するしかない。
それに気づくと、例えばスポーツ選手であればチームプレーに徹するようになる。優れたスポーツ選手は自分自身の個人成績の向上よりチームの勝利の方を喜ぶ。
野球でホームランを打っても、サッカーでゴールを決めても自分のチームが負けてしまえば、心から喜ぶことができない。
団体競技ではない水泳や陸上でも、優れたスポーツ選手はみなコーチ、両親や自分を支えてくれた周囲の人々に対する感謝の気持ちが強い。
良い記録を出して喜ぶときは皆に喜んでもらえるので、一人で喜ぶときより大きな喜びを感じることができる。個人競技でも皆で分かち合う喜びは自分一人の喜びよりはるかに大きい。
企業における製品開発や様々な業務、大学等における研究活動についても同じである。
研究も仕事も一人だけでは大きな成果は成し遂げられない。優れた指導者から学び、関係者から助けられ、共通の課題解決に向けてチームとともに協力して目標達成を目指す。
その過程で、周囲の人々のために努力を重ね、周囲の人も自分を応援してくれるという信頼関係が続くと、チーム全体の一体感が強まる。
そこから新たな仕事の成果、新製品、新技術が生まれれば、チーム全体で喜びを分かち合える。その喜びはやはり自分一人の努力による喜びよりはるかに大きい。
それが仕事や研究活動への取り組み意欲を長期的に後押しする。だからこそ優れた業績や研究成果はそうしたチームの中で互いに他者のために自己の最善を尽くしきることの継続から生まれる。
この力は政治経済社会文化あらゆる分野で発揮される。