「大国の勢力圏」が生む安定と摩擦

 大国の勢力圏が安定を生むという考えは表面的には妥当に聞こえるかもしれない。だが、それは自らの運命を決めるには重要性を欠くと考えられている比較的小さな国々の見解と利益を無視している。

 また、こうした国は主体性を持っており、ウクライナが実証してみせたように、時には抵抗することがある。

 いわゆる「メジャーな大国」の利益だけが考慮された時でさえ、勢力圏は安定性と同じくらい摩擦を生む公算が大きい。というのは、米国のような国は世界的な利権を持ち続けるからだ。

 例えば中国は台湾を自国の領土の一部、かつ「核心的」な国益と見なしている。

 だが、台湾の半導体産業が中国の手中に落ちたり、中国政府が南シナ海を通過する海上輸送を統制したりすれば、米国は自国の国家安保が危機にさらされると考える。

 中国による東アジアの支配と米国による西半球の支配の交換は、まさしく世紀のディールとなる。中国にとって、だ。

(文中敬称略)

By Gideon Rachman
 
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