馬頭観音で知られる駒形堂(東京・台東区)、慈雲山妙安寺(埼玉・東松山市)

 仏教の世界にも馬の字を冠した信仰の対象がある。「馬頭観音」だ。

 馬頭観音は33の異なる姿を持つと言われる観音菩薩の変化身の1つ。頭上に馬の頭を抱き、恐ろしい怒りの形相(忿怒相)で諸悪を断ち、煩悩を食らい尽くして仏教の六道のうち畜生道に迷う衆生を救済するとされる。厄除けや無病息災、五穀豊穣、ペットの守護などのご利益があるという。

 馬頭観音を祀る仏閣と言えば、墨田川にかかる駒形橋のふもとの駒形堂(東京・台東区)が知られている。創建は942年。浅草寺のご本尊・観音菩薩が現れた聖地に立ち、度重なる火災に見舞われながらも蘇ってきた強靭なパワーを持つ。

 関東エリアでは、慈雲山妙安寺(埼玉・東松山市)が有名だ。鎌倉時代の創建で、ご本尊の馬頭観音像は京都・鞍馬で源義経と共に学んだ瑞慶和尚の作と伝わる。軍馬や農耕馬の守護神として崇敬され、近年は競馬ファンの参拝も多いという。

年始のタイミングを逃したら「初午」の日に詣でる

 26年は1月1日が物事を始めるのに相応しくないとされる「不成就日」に当たっており、元日の参拝はお願い事をするには向かないとの見方がある。一方で、「仏滅(1月6日)」や「赤口(1月2日)」といった暦上の凶日は中国の陰陽道に由来する概念で宗教的な意味はないため、気にする必要はないとされる。

 年始のタイミングを逃した場合は「初午」の日に詣でるのもいい。初午とは2月最初の午の日のことで、26年は2月1日(日)が該当する。初午は稲荷大明神が稲荷山に降り立ったとされるメモリアルデーで、全国の稲荷神社では「初午祭」が盛大に開かれる。なお、馬頭観音は毎月19日が縁日となる。

 神社の境内で見かける絵馬は、前述した神馬の代わりに板に描いた馬を奉納するようになったのが由来だという。受験や就職、出産、病気平癒など特別な願掛けに使うのが一般的だが、午年の26年は絵馬に乗せて神様に願いを届けるのも一法だろう。

 読者の皆様にとって2026年がエネルギーに満ちた飛躍の年となりますように!