機密情報を扱うため内製された「源内」
世界に目を向けると、AIを国家戦略の中核に据える動きが加速しています。米国や中国、英国などは、国家としてAI開発と社会実装を競う姿勢を明確にしています。
日本もこの流れから逃れることはできないのです。ただし、重要なのは、海外と同じことをするかどうかではありません。
日本の行政制度、日本の労働人口、日本の社会構造に合った形で、AIをどう組み込むかです。ガバメントAIは、そのための土台づくりと位置付けられています。
ガバメントAIとは、単一のシステムやツールを指す言葉ではありません。政府職員が安全にAIを使えるクラウド環境、行政向けのAIアプリ、大規模な政府データ、運用ルールや人材育成までを含んだ、統合的な取り組みです。
言い換えれば、AIを安心して使える行政インフラを国として整える構想といえるでしょう。
その中核にあるのが、「源内」と呼ばれる生成AI利用環境です。
「源内」という名称は、生成AIを意味する「Generative AI」の略語である「Gen AI」から取られています。
「源内」は、デジタル庁の職員が日常業務で利用できるプラットフォームとして内製で開発されました。
行政特有の機密情報を扱うため、外部サービスに丸投げしない設計が取られています。
「源内」では、汎用的な対話型AIだけでなく、行政実務に特化したAIアプリが提供されているのです。
法制度の調査支援や、過去の国会答弁の検索、公用文のチェックなど、現場の業務から逆算して作られています。