彼らの口からはトランプ大統領に対して「とんでもない強盗」「ヤクザ」「侮辱」などの激しい言葉が溢れ出た。
ソウルの路上には、トランプ大統領の対韓国関税政策に反対の意を表する、トランプ氏の似顔絵が描かれた立て看板が登場した。「あなたは強盗なのか」と書かれている(写真:AP/アフロ)
共に民主党内の院外組織はさらに一歩進んで、全国各地で「韓米同盟毀損・不平等投資強要糾弾記者会見」を行っている。彼らは「(トランプ大統領が)同盟国を戦犯国のように扱う屈辱的要求を強要している」とし、「態度に変化がなければ米国旅行ボイコットと製品・株式の不買など全国民的行動に出るだろう」と主張した。
もとはと言えばできない約束を交わしてきた自分のせいでは
文在寅政権の反日運動当時、先鋒に立った曺国(チョ・グク)元法務長官も前面に出てきた。現在、国会議員12人を保有しているチョ・グク革新党の非常対策委員長である彼は、国会で「関税爆弾と3500億ドルの前払い圧迫は投資協定の外皮をまとった不平等条約」とし、「収奪と隷属を強要すること」と非難。
続けて、「国会が対米投資要求に対する即刻撤回を決議しなければならない」と主張した。
9月25日、共に民主党とチョ・グク革新党をはじめとする5つの左派政党所属の65人の議員たちがこのような決議案を国会に提出した。まるで文在寅政権時代にいくつかの反日決議案が国会に提出されたときのような状況なのだ。
ただ、李在明政権の反米運動が文在寅政権時の反日運動のように成功するとは断言できない。もともと反米性向の強い共に民主党のコア支持層を結集させることはできるだろうが、韓国は「イスラエルに次いで世界で2番目に親米国家」とも言われている。その韓国国民の大多数を“扇動”することは容易ではないはずだ。
一部の進歩メディアを除くほぼすべてのメディアも、政界からの反米発言に対して自制を促している。
韓国のメディアと識者たちは、李在明政権が主導している反米運動が関税交渉に悪影響を与えることを懸念している。
トランプ大統領の米国は、かつての米国政権のように、韓国の反米感情を考慮して譲歩するような政権ではないからだ。すでに韓国製自動車は米国市場で競争国である日本と欧州に比べて10%高い25%の関税率が適用されており、韓国大統領府が「最恵国待遇を約束された」と主張した医薬品は100%の関税が適用される。韓国の主力産業である半導体にも高い関税が賦課される可能性が高い。
そもそも、韓国の国力では到底支払えない3500億ドルの対米投資を躊躇なく約束しておきながら、今になって「払えない」と180度態度を変えているのは李在明大統領と無能な韓国の交渉実務陣だ。もしも交渉が失敗で終われば、その全責任は当然ながら李在明政権が背負うべきだ。内部結束のために過ぎない李在明政権の危なっかしい「反米扇動」は、大統領弾劾や第2のIMF事態に通じるバタフライ・エフェクトになるかも知れない。


