トランプ主催の晩餐会を「あえて」欠席

 まず李在明大統領は、9月23日に開幕した第80回国連総会の基調演説でトランプ大統領に立ち向かった。李大統領は国連加盟国首脳のうち7番目に基調演説を行い、「北朝鮮とのEND(交流、関係正常化、非核化)プロセスで朝鮮半島の冷戦を終息させる」という構想を説明し、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の非常戒厳令で壊れた韓国の民主化を回復させる」と強調した。

 さらに李大統領は世界平和と安全維持、多国間主義的協力、自由と人権、包容と連帯といった国連の価値を強調した。特に、次のような内容が海外メディアの注目を集めた。

「大韓民国に居住する全ての韓国人・外国人が社会の平等な構成員として、暮らしのあらゆる現場で尊重されるよう、制度と文化をさらに発展させていきます」

 これに対し、同日、2度目の基調演説を行ったトランプ大統領は「国連無用論」や「アメリカファースト」を強調し、不法移民者追放の正当性を力説したため、2人の演説内容は対照をなした。

 米国・ブルームバーグ通信は、「トランプ大統領は国際社会が“統制されていない移住を煽る”と非難したが、李大統領は“外国人も同等な社会構成員として尊重されるようにしたい”と強調した」とし、李大統領の演説がトランプ大統領の演説と対照的だと評価した。同メディアは最近、米国のジョージア州で韓国人労働者が大規模逮捕・拘禁された事態に言及し、李大統領の演説の背景についても触れていた。

 李大統領はニューヨークでトランプ大統領夫妻が主催した晩餐会にも「あえて」参加しなかった。韓国メディアによると、世界145カ国の首脳が出席して大盛況を博した晩餐会に出席する代わりに、姜京和(カン・ギョンファ)駐米大使内定者らと晩餐を楽しんだという。

国連総会が行われる国連本部に到着したトランプ大統領とメラニア夫人(写真:AP/アフロ)

 これに対して大統領府は「わずか先日、“非常に長い”韓米首脳会談を行ったばかりだ。トランプ大統領主催の晩餐会はレセプションの挨拶の列で10秒余り挨拶して終わる行事なので、他の日程を進行した方が良いという意見を出した」と説明した。