市街地に出没するクマへの対策

 福島町では現在、警察や消防が24時間態勢でパトロールするほか、地元の猟友会とともにクマを捜索している。クマを見つけたら駆除する方針だという。

 近年、クマの出没が山林を超えて住宅地にも及ぶ傾向が強まっている。環境省は、今年9月からの「改正鳥獣保護管理法の施行」を前に、「緊急銃猟ガイドライン」を公表した。そこでは、市街地でも一定の条件下で猟銃による駆除を認める方針を示している。

 発砲には以下の4条件すべてを満たす必要がある。

1.    クマなどの危険動物が生活圏に侵入している
2.    人への危害防止の緊急性がある
3.    他の手段での捕獲が困難である
4.    発砲によって人への危険がない

 しかし、これで人間に危害を及ぼす恐れのあるクマの駆除ができるかといえば、事はそう簡単にはいきそうもない。ハンターの高齢化や人手不足、自治体と猟友会との連携不足に加え、動物愛護団体などからの抗議もあり、対応は容易ではないのが現実だ。

 23年には、秋田県でクマがスーパーに侵入し、従業員を負傷させた事例で駆除後に苦情電話が多数寄せられたことが大きな話題となったのは記憶に新しい。これに対し、佐竹敬久・秋田県知事は「毅然とした対応をとるべきだ」と述べた発言も報じられているが、同様の苦情が今後も自治体や猟友会関係者に寄せられる可能性がある。

「自治体に抗議をしているのは都会に住んでクマの出現がない地域の住人が好きなことを言っているとしか思えません。もし自分が暮らす地域にクマが出たとしたら子どもを含めて家族の命を守るために必死になるのは当たり前のことです。それも市街地に出没し、民家にも侵入しているとなれば駆除するのは当然です。クマが森に住めなくなった環境は人間が作り出したという意見があるのも分かりますが、そんな程度の問題ではない。命がかかっているのですから現実を直視すべきです」(秋田県の大手紙デスク)