習近平、副主席の張又侠、何衛東の微妙な三角関係
さらに苗華、何衛東らと張又侠の間に軍の戦略的視点や人事の問題で対立があったが、それは軍内の正常な議論であり、いわゆる「習近平と張又侠の矛盾」というようなものではない、と主張したという。
また苗華の賄賂問題について否定し、事実に基づいて、“故意”と“過失”を区別して、今までの貢献を考慮して寛容な審判を求めた、らしい。
中国政治の内幕に関する暴露系の在外華字メディア「看中国」によれば、苗華が特別部隊を作ろうとしたプロセスに問題があり、私設軍を作り張又侠排除や、あるいは軍内反乱を準備したのではないかと疑われて失脚した可能性があるようだ。また、中央軍事委員会主席の習近平、副主席の張又侠、何衛東の間に微妙な三角関係があったとしている。
習近平国家主席(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
張又侠は軍内太子党で習近平の幼馴染である。軍内旧勢力の代表、何衛東は福建閥主要メンバーで習近平に気に入られて急激に出世し、反腐敗キャンペーン執行役にも選ばれて習近平の信頼を得ている。張又侠と何衛東の間には習近平の寵愛をめぐる微妙な相互牽制があり、習近平もそれを利用して、双方が権力を持ちすぎないようにコントロールしていたと思われる。
また習近平の秘書役(中央軍事委員会主席弁公室主任、中央軍事委員会弁公庁主任)の鍾紹軍が2024年に国防大学政治委員に事実上、左遷させられたこと、その後任に苗華派の方永祥が就任するも、今年秋の四中全会で欠席させられたことなどを考えると、習近平と軍の信頼関係が根本的に崩れ動揺していることもうかがえる、という。
その中で、張昇民が何衛東の後任として四中全会で中央軍事委員会副主席に昇進(軍事規律委員会書記兼務)しながら、政治局入りが見送られたのは、軍事委副主席は政治局委員である、という慣例をあえて破り、軍の影響力を抑えようと習近平が考えたからかもしれない。