米政府内のねじれ、問われる高市政権

——米国側でレアアース関連を担当しているのは誰ですか。

細川:米中交渉の責任者はベッセント財務長官ですが、レアアースの実態については詳しくありません。そもそも輸出管理の所管はラトニック商務長官が担当する商務省です。

 この2人はトランプ大統領の前で成果を競い合うライバル関係にあります。ベッセント氏が米中交渉を任されている一方で、規制実務を握っているのはラトニック氏。この構図が、政策のちぐはぐさや混乱を招いているでしょう。

——こうした中、高市政権や日本企業は今後、どのように立ち回るべきですか。

細川:やはり80兆円の対米投資枠は、トランプ大統領が強い関心を持っている案件です。日本側は「不平等だ」と文句を言うだけでは意味がないので、高市政権は日本企業にとって有利な案件でこの枠を埋めていくことが重要です。日本企業もアメリカ市場開拓の好機として活用する姿勢が必要だと思います。

 また、半導体、AI、エネルギーといった分野での日米連携は、経済安全保障の要でもあります。単なる投資ではなく、日米の協力関係をどう設計するかが問われます。

 一方、中国との関係では、言うべきことを明確に伝え、是正を求める姿勢が不可欠です。今回のレアアース規制もその一例です。同時に、ヨーロッパとも連携して多面的に対応していくことも重要です。そうした総合的な外交・経済戦略が求められていると考えます。

(前編も読む「本当に80兆円対米投資は損しないのか?高市・トランプ会談で判明、原子力やAI…動き始めた日本企業

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