注目すべき「会社四季報」の4つのポイント

頼藤:その応援したいと思う気持ちが大事です。ただ最終的には、数字で客観的なデータで根拠を確認することが必要です。そこでお勧めなのが「会社四季報」(東洋経済新報社)の活用です。

 会社四季報は、日本の全上場企業の業績や財務状況などのデータがまとめられた情報源で、年に4回発行されています。1936年の創刊以来「投資家のバイブル」として歴史のある資料です。最近では紙の本だけでなく、証券会社のWebサイトなどでも手軽にチェックできます。

日南:会社四季報は、あの分厚さを見ると、ちょっと尻込みしてしまいます…どこを見ればいいのでしょうか?

頼藤:特にチェックすべきポイントは大きく4つあります。

 1つ目は「記事欄の見出し」です。その企業の業績が好調かどうか一目で確認できます。「連続最高益」「利益倍増」「躍進」などという力強い表現があれば、業績が好調である証拠です。さらに「独自増額」というキーワードにも注目しましょう。これは四季報の記者が取材の結果、会社発表の計画よりも高い業績になると判断した印です。

 2つ目は業績欄の数字です。最低限見るのは「売上高」と「営業利益」。営業利益は、売上高から売上原価と販売管理費を差し引いたもので、企業の本業の儲けを示します。売上高と営業利益、どちらも右肩上がりなのが理想ですね。「EPS(一株あたり利益)」なども将来の増配を期待する上で参考になります。

 3つ目は財務欄のデータです。「自己資本比率」や「有利子負債」「利益剰余金」「営業キャッシュフロー」などの項目をチェックしてみましょう。「自己資本比率」は総資産に占める自己資本の割合で、言い換えると「どれくらい借金に頼らずに経営できているか」という指標。もちろん企業がレバレッジをかけて借金をしてでも設備投資などをすべき場合もありますが、おおむね50%前後あれば健全だと言われます。

「有利子負債」は少ないほど財務は健全ですし、「利益剰余金」は過去から利益が蓄積された内部留保で将来の配当原資にもなります。「営業キャッシュフロー」は本業でどれだけ現金を生み出しているかを見ることができ、プラスが大きければ本業が順調な証拠です。

 最後の4つ目は、業績予想の修正欄です。会社の業績予想が前号からどう変化したかが矢印で示されます。「↑↑」は前号比30%以上の大幅増額、「↓↓」は30%以上の大幅減額といった形で業績の修正を確認するのに有効です。

日南:四季報を読むのは難しいと思っていましたが、見るポイントを絞り、自分でどんどん付箋を貼っていけば、意外と銘柄を選んでいけるかもしれませんね。

頼藤:ただし、どんなに良い銘柄でも、未来の株価を予測するのはプロでも難しいものです。個別株に投資する場合は、複数銘柄・複数業種への分散と、長期保有の視点が欠かせません。

※個別の金融商品や銘柄を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

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