ニューヨーク市ハーレム地区にあるホールフーズ・マーケットの店舗(2023年3月3日撮影、写真:AP/アフロ)
米アマゾン・ドット・コムが、食料品事業における実店舗戦略の転換を加速させている。
10月上旬、南カリフォルニアで展開する食品スーパー「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」4店舗の閉鎖を決定した。
9月下旬の英国での全店閉鎖に続く動きで、不振が続く実店舗事業を縮小し、経営資源を主戦場のEコマース(EC)に集中させる狙いが鮮明になった。
同社はオンラインでの配送網拡充やプライベートブランド(PB)強化を矢継ぎ早に進めており、巨大な食料品市場でのシェア獲得に向け、ECを核とした最適化を急ぐ。
相次ぐ店舗閉鎖、戦略転換の象徴
アマゾンが閉鎖を決めたのは、南カリフォルニアの①ラハブラ、②ラバーン、③ミッションビエホ、④ウィッティア、にある「Fresh」4店舗だ。
これに先立ち、ここ数カ月でワシントン州やニューヨーク州など米国内の他拠点でも店舗を閉鎖しており、一連の整理の動きといえる。
同社は「店舗によって業績に差があり、評価の結果、閉鎖を決定した」(米CNBC)と説明。影響を受ける従業員については、社内での再配置を支援するとしている。
米国での今回の閉鎖は、9月下旬に英国の全19店舗を閉鎖すると発表したことに続く動きだ。
2020年に「マスマーケットの買い物客」を狙って鳴り物入りで始めたFresh事業だが、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)が進める全社的なコスト削減の波の中で新規出店が凍結されるなど、近年は苦戦が続いていた。
背景には、Freshが掲げたビジネスモデルが消費者に広く浸透しなかったことがある。
レジなし決済技術「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」は当初こそ注目を集めたが、消費者の日常的な購買行動を変えるほどのインパクトは生み出せず、店舗網の縮小へとつながった。