5.防空ミサイル圏外から滑空弾攻撃のみ
ウクライナの防空ミサイル圏外からの滑空弾攻撃や空対地ミサイル攻撃にロシアは、第4.5世代の1つ前に当たる第4世代のSu-27やMiG-29戦闘機、Su-24攻撃機を多く用いている。
一方、新型機のMiG-31・35、Su-30・34・35はどうかというと、こちらも第4世代戦闘機と同じ役割しかしていない。
ウクライナ防空ミサイルが活動している間に滑空弾攻撃だけを行うのであれば、わざわざ第4.5世代機を投入する意味はほとんどない。
ロシアは、欧米の戦闘機に対抗して勝てる戦闘機を開発・製造したはずだ。
だから、本来はウクライナに供与されたF-16戦闘機と遠距離の空中戦に挑んで、F-16を撃墜しようとする作戦があってもいいはずだが、それはしない。
ロシアの新型機は、ただウクライナ国境から遠く離れた基地に移動し、滑空弾攻撃を行うためだけに、ウクライナ防空兵器の圏外近くまで移動して、そこから、滑空弾を発射して帰投しているのである。
6.平時の恫喝飛行では役立つ新型機
ロシアのMiG-31戦闘機3機が2025年9月19日、エストニア領空を侵犯し、約12分間フィンランド湾上空にとどまった。
また、Su-30戦闘機1機と給油機が2025年10月24日、リトアニアの領空の700メートルを18秒間侵犯した。
ロシアは平時、敵国の防空兵器や戦闘機がミサイル攻撃を実施しないとわかっている時は、新型機を使って相手国の領空を侵犯して、恫喝やいやがらせを行っている。
だが、防空ミサイルなどで撃ち落とされる可能性があるときは、相手国の戦闘機との空中戦に挑むことなく、自国の領土の国境から離れた位置に逃げるのだ。
ロシアは、相手が弱く出てくるときは強気で恫喝を行い、相手が攻撃してくるときは、被害を受けないところまで逃げているのである。