日本で初めての女性首相となった高市早苗氏(10月21日、首相官邸での就任会見で、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

日本初の女性首相誕生

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 ついに日本で初の女性首相が誕生した。

 高市早苗氏の登場は、戦後日本政治の転換点であると同時に、国際社会の中で新しい日本の姿を示す契機でもある。

 だが、その門出は華やかとは言いがたい。

 高市新首相の前に立ちはだかるのは、戦後最悪とも言われる安全保障環境、そして国内外の分断された政治状況である。

 首相の初仕事として来週最大の山場となるのが、米国のドナルド・トランプ大統領との会談だ。

 日米関係の再構築を象徴するこの面談こそが、彼女の真価を問う第1の試金石になる。

戦後最悪の安全保障環境

 現在、日本を取り巻く安全保障環境は、終戦以来最も危険な状態にある。

 最大の要因は、北朝鮮が過去1年間で中国・ロシアと実質的な軍事的同盟関係に近づいたことである。

 中国はこれまで「朝鮮半島の非核化」を掲げていたが、今や北朝鮮の核保有を黙認する姿勢に転じている。

 さらに、ロシアはウクライナ戦争の長期化を背景に、北朝鮮から兵士や弾薬の供給を受け、代わりにミサイル・核関連の技術を提供している可能性が高い。

 この構図の中で、日本は中国・ロシア・北朝鮮という3国に囲まれた地政学的脆弱性を抱える。

 北朝鮮は実際に日本に向けて弾道ミサイルを発射し、米本土を狙う長距離核戦力までも手にしている。

 さらに中国は、台湾統一に軍事オプションを排除しないと公言しており、台湾・韓国・日本が一体の戦略的戦場と化すリスクが現実のものとなっている。

 幕末以来、日本がこれほど同時に複数の隣国と潜在的な敵対関係を持ち、しかもそのいずれも核兵器を背景とするという事態は初めてだ。