アマゾン・フレッシュ(写真は英国での実店舗=2021年3月4日撮影、写真:ロイター/アフロ)とハッピー・ベリーを統合して「アマゾン・グロサリー」PBを再構築した
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 米アマゾン・ドット・コムは10月上旬、新たな食品プライベートブランド(PB)「Amazon Grocery(アマゾン・グロサリー)」を立ち上げた

 商品の大半を5ドル(約750円)以下の低価格に設定し、インフレ長期化で高まる消費者の節約志向を取り込む狙いだ。

 米小売最大手ウォルマートや会員制スーパーの米コストコ・ホールセールなど、競合との競争が一層激しさを増している。

既存ブランド統合、品質と低価格を両立

 Amazon Groceryは、これまで同社が展開してきた食品PB「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」と「Happy Belly(ハッピー・ベリー)」を統合し、一つのブランドとして再構築したものだ。

 牛乳や精肉、野菜といった生鮮食品から、スナック、製菓材料まで1000品目以上をそろえる。

 同社は、大半の商品を5ドル以下で提供しつつも「品質や味に妥協はない」と強調。

 ワールドワイド・グロッサリー・ストア担当副社長兼ホールフーズ・マーケットCEO(最高経営責任者)のジェイソン・ビューチェル氏は、「消費者が価格に敏感になっている今、食費の節約に貢献できる」と、その価値を説明する。

 背景には、米国内で顕著になっているPB商品の人気拡大がある。

 米USAトゥデイによれば、昨年米国で購入された食料品の25%がPB商品だったという。

 アマゾンのPB商品売上高も、2024年に前年比で15%増加しており、消費者の低価格志向が追い風となっている状況だ。

小売大手の競争激化、株価にも影響

 アマゾンが明確に低価格帯を打ち出してPB戦略を強化したことは、競合小売大手への大きな脅威となる。

 特に、PB商品群で米国最大のウォルマートや、熱心なファンを持つコストコの「Kirkland Signature(カークランド・シグネチャー)」ブランドなどが直接の競合相手とみられる。

 米CNBCによると、アマゾンが新ブランドを発表した直後、ウォルマートや米スーパー大手クローガーなどの株価が軒並み下落し、市場の警戒感を誘った。

 小売業界全体でPB強化の動きは活発だ。