どんな強国も無傷で済まない
IMF・世銀年次総会は、世界経済の全体的な状況とさらなる混乱を招く顕著なリスクについて考えるのみならず、最も貧しい国々やそこに住む人々の状況に特に注目する機会でもあった。
WEOによれば、「長期にわたる紛争に苦しむ国々をはじめとする世界で最も貧しい国々は、経済成長の勢いが減速するリスクにとりわけさらされている」。
その理由の一つは、援助や譲許的融資の削減に求められる。
米国際開発局(USAID)の唐突な閉鎖は、医療においてとりわけ重大な影響をもたらしそうだ。
国際医学誌「ランセット」に掲載されたある研究報告は、USAID解体の「結果、2030年までに死者の数が1400万人超増える恐れがある」との結論を導いている。
IMFと世界銀行は1944年、世界規模の経済協力の原則を確立するために設けられた。この原則の必要性はまだなくなっていない。
米国がまだ加盟国に残っているのは明るい材料だ。この先には大きな困難が待ち構えている。
とりわけ重要なのは、地政学的な大変動が起きているこの時期に経済発展を維持しなければならないことだ。
どれほどの力を持った大国でも、世界の経済システムが吹き飛んでしまったら無傷ではいられない。
(文中敬称略)