世界大恐慌の最も壊滅的な原因は1930年関税法
第2次政権発足以来、トランプ氏はカナダやメキシコ、鉄鋼・アルミニウム、自動車・自動車部品に25%、中国に20%の関税を次々と発動してきた。しかし4月2日に明らかにした「相互関税」の中身に世界は驚愕し、1日でS&P 500は4.8%、ナスダック総合指数は6%も下落した。
「債券自警団」という言葉を初めて用いた著名ストラテジストのエドワード・ヤルデニ氏は「相互関税」を額面通り受け止め今年S&P 500の予想を19%上昇の7000としていたが、スタグフレーションの可能性は年初の20%から45%に高まったとして5100~6000に軌道修正している。
ヤルデニ氏は1985年に記した自らの論考「保護主義の道が恐慌を招く」を再掲し、その中で「世界大恐慌の最も壊滅的な原因は1930年のスムート・ホーレー法だ。関税が強化された直後に工業生産が急落した」と指摘している。
当時フーバー米政権はスムート・ホーレー法で20年代の保護関税政策を強化し、米国の関税率を記録的な高さ(平均で38~42%)に引き上げた。多くの国は報復関税を発動、米国の貿易は半分以下に落ち込んだ。29年の米株式大暴落に端を発する大恐慌をさらに深刻化させた。
世界恐慌への対応にあたったフーバー大統領(写真:AP/アフロ)