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 北朝鮮で最も大きな鉱山地帯茂山が見える丘。まさに壮観である。国境はやっぱりいいものだ。注意力が妄想に漫然と拡散してしまうことには注意が必要であるが・・・。

脱北コーディネーターに会いに行く

朝鮮民主主義人民共和国咸鏡北道茂山

 北朝鮮と長くビジネスをやってきたこの男の車に乗り込み、脱北者ビジネス・国境コーディネーターに10年くらい従事しているという妹の旦那に会いに行くことになった。

 5~6キロほど車で走り、まさに国境沿いの住宅街のような場所へとやって来た。何だか倉庫みたいだ。

 家の中に案内される。黄土色をしたダンボールが積み重なっている。お米や野菜など、食料を溜め込んでいるようだ。

 奥から男性(以下、L氏)が出てきた。背は高くない。170センチ前後、体型も至って普通だ。簡単に挨拶を済ませ、雑談を進める。事前に男から話を聞かされていたのだろうか。向こう側から本題を切り出してきた。

 「ここ5年くらい、北からの脱北者が激減している、当局が中国にトップダウン形式で管理の強化を要請している。本国でも脱北の流れを止めようとしている」

2005年頃から減り始めた脱北者

 「この手の要請は地方政府や軍部同士ではできない。確実に中央政府同士の関係や交渉が絡んでいる。脱北者を巡る動きや流れをビジネスの糧とする我々にとっては、極めて厳しい状況が続いている」

 確かにそうだ。

 筆者が中朝国境都市である延吉に来てからというもの、政府・民間を問わず多くの関係者から「2005年頃から脱北者が減ってきている」という共通の話を聞いている。

 2003年の段階では、町中で北朝鮮人を見ることができたという。朝鮮語を話しているのを見ればすぐに分かったようだ。向こうの人間は栄養失調で体も痩せ細っているから、一目瞭然である。