派遣シニアの事務職に求められるスキル
Yさんの派遣会社ではスタッフ登録に年齢制限はないという。しかし年齢を理由に、派遣先からシニア人材を拒否されることはないのだろうか。
「今は法律が厳しいので、派遣先の企業が年齢や性別で人を差別できません。派遣先企業が『20~30代の人を』などと指定することもNGです。でも、正直に申し上げると、ハイレベルなスキルを求めない職場ほど、若い人材を求める雰囲気があります。そうした企業にシニアをゴリ押しても、居心地が悪くてシニアのほうから辞退となりやすい」
そうなると、やはり年齢を重ねたシニアはスキルを売りにしなければならないだろう。派遣シニアの事務職とは、どれくらいのスキルを持っている人なのか。
「上場企業へ紹介する人材は、ちょっと事務ができるレベルでは足りません。年次の会計業務ができる、長年経理をやってきた、ビジネス英語の読み書きができるなど、いわゆる『スキルフルな方』です。一方、官公庁に紹介する人材は窓口業務などが多いので、コミュニケーションスキルが高い人が重宝される傾向があります」
そして、シニア派遣においては、スキルと同じくらい配慮が必要なことがあるという。
「私の経験上、企業と派遣シニア、お互いの“カルチャー”がマッチしないと長く就業できないと感じています。『この派遣さんには、あの企業が合いそう』というような、言語化しにくい部分で判断するほうがハマりやすい」
確かに、シニアは適切な場所にセッティングしないと、職場で浮いてしまうこともありそうだ。具体的にはどんなカルチャーをマッチングさせるのか。
「たとえば早口で簡潔に要点を話せるなど、無駄のない合理的な人には、外資系企業やベンチャー企業が合います。対して、雑談が上手く、ホスピタリティーがある人は日本企業向きです。日本企業ではコミュニケーション能力が重要な要素で、ビジネススキルより一緒にやっていけるかを重視する傾向がありますから」
そして意外だが、シニア人材は必ずしも日本企業向きではないという。
「外資系企業はスキルを重視し、年齢を気にしません。英語のスキルがある人、経理の経験がある人と、ハッキリ要求されることが多いのです。実際、外資系に派遣したある60代男性は、もともと外資系企業でバリバリやっていた人でした」
思わぬ経歴がマッチしてシニアが派遣されることもある。
「理系大学で研究職をされていた70代男性が、とある企業に派遣されたことがあります。特定の研究ジャンルに詳しい事務職を派遣して欲しいというオーダーがあり、たまたまその男性がマッチしたのです。その方は研究職を希望していましたが、その指名に喜んで事務職の派遣に応じてくれました」
こうしたニッチな人材がマッチングされるのは、かなり稀なケースのようだ。自分の経験や知識を最大限アピールできる言語化能力や分析能力がなければ、こうした幸運には恵まれにくいだろう。