ポスト石破でも「決断遅い政権」は続く
第27回参院選は7月20日投開票され、遅々として進まぬ経済回復、八方ふさがりの外交・・・有権者は石破茂政権に厳しい審判を下した。
政権批判票は野党に分散し、国民民主党、参政党などの新興野党が躍進した。
自公両党による参院の過半数確保はならず、他党を加えた連立政権を組むのか、あるいは政権を放り投げるのか。
いずれにせよ、日本はこれまで以上に「決断の遅い政権にマネージされる政治」が続くと、米国の識者たちは見ている。
物価高などへの国民の不満をすくい上げ、外国人急増に対する一部国民の抱いている警戒心を煽り、愛国心を「日本人ファースト」というキャッチコピーにしたのが参政党だった。
だが、米国の日本通の一人、K氏(元米外交官)は冷ややかにこうコメントする。
「参政党が躍進し、有権者のフラストレーションは一時的には解消しても、政策の転換に必要なのは一にも二にもカネ(財源)。打ち出の小槌(Money-making machine)でもない限り、解決は困難だ」
「政権交代可能な二大政党制を目指したのは、今は昔。選挙のたびに新しい政党ができては分裂を繰り返している日本は、朝令暮改のドナルド・トランプ大統領に振り回されるだけだ」
独AfDと類似の極右ポピュリスト党?
米メディアは、参政党躍進が予想される1~2日前から、反移民を掲げるMAGAやドイツのAfD(Alternative für Deutschland=ドイツのための選択肢)、英国のReform UK(英国改革党)など欧米の極右ポピュリズム政党に相通ずる動きであり、「日本よお前もか」といった日本の排外主義につながる危うさを指摘していた。
選挙結果はそれを見事に立証した。
(Japan's shaky government loses upper house control | Reuters)
(Japan votes in a key election as Prime Minsiter Ishiba faces a loss and political uncertainty - ABC News)
米ニューヨーク・タイムズ(NYT)をはじめABCテレビやNBCテレビのデジタル版(APやロイター通信を転電)は詳細に報じた。
ユーチューブチャンネルの「Firstpost」 や「CNA」も「新興の極右政党、日本の参院選を揺さぶる」(New Far-Right Party Shakes Up Japan’s Election)と速報した。
参院選の背景について2日にわたって詳細に報じたのは主流紙のNYTだった。
NYTは7月19日付で、マーティン・ファックラー東京支局長代行の「鹿児島発」の記事を載せて、「参政党の実態」を暴いていた。