この数年で日本で働く外国人労働者は急増している(写真:graphica/イメージマート)*写真はイメージです
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 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない。本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる……! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。

 おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くレポートする。(若月 澪子:フリーライター)

ブラジル生まれの「リチャードさん」

 参議院選挙で、「外国人との共生」が争点になっているらしい。

 日本で働く外国人労働者の数は230万人を突破した(2024年10月時点)。日常でも、コンビニ、道路工事、農作業、外国人の労働者を見かけない日はない。コロナ前の2017年に日本で働く外国人労働者は100万人だったので、この数年で急激に増えている。

 そして、本企画でもとうとう外国人労働者の「副業おじさん」に出会う日がやってきた。

 外国人労働者の「先輩格」と言えるのが日系ブラジル人である。日系ブラジル人が日本で働き始めたのは1990年ごろのこと。日系人は他の外国人と比べ、職業の規制や滞在期限などが比較的自由である。

 彼らの多くは日本でお金を貯めてブラジルに帰っていくが、豊かになれないまま時が過ぎてしまう人もいる。流暢な日本語を話す在留18年目のリチャードさん(仮名・46歳)もそうだ。

「貯金はありません。そのために副業をしています。副業することになったきっかけは、ずばり借金です」

 東海地方に住む日系ブラジル三世のリチャードさんは、車のエンジンの一部を製造する工場で働いている。

 リチャードさんの両親は、子どもの頃にブラジルに渡った日系二世。ブラジル生まれのリチャードさんは、家庭では日本語を使い、外ではポルトガル語を使うバイリンガルとして育った。

 リチャードさんは祖国ブラジルで大学を卒業したものの、両親のすすめで日本に出稼ぎに来た。彼が20代後半の頃だ。

「両親はブラジルで農業をやっていました。僕は新聞やテレビのルポライターかジャーナリストになりたかったが、仕事は見つからなかった。両親に諦めたほうがいいと説得され日本に来ました」

 リチャードさんのように、大学を出て日本に出稼ぎに来る日系ブラジル人は珍しいという。日本に来るブラジル人は、ほとんどが高卒までの人だそうだ。