ウクライナ復興が日本にとって重要な理由

松田:経済が大きいと思います。ウクライナには「EU(欧州連合)との関係を深くして、輸出を振興させて外貨を稼ぐ、その資金で復旧・復興を実現させていきたい」という意識が強いですから、それを後押しすることが大事でしょう。

 輸出型の工業団地造成や、EUと鉄道や道路、電力部門をつなぐインフラ整備の計画もあります。これらは日本の企業が日本政府の後押しで大いに活躍できる分野です。

——ウクライナの復旧・復興は日本にとってどういう重要性があるのでしょう。

松田:ウクライナが政治的に安定し、経済的に強い国になり、防衛能力をさらに高めることがロシアの侵略の再発防止に一番いい方策です。全ての国の安全保障にプラスになります。逆にウクライナが弱いままなら、また戦争の再発を招くでしょう。

——日本に避難しているウクライナ人もいます。

松田:ウクライナの若者に対しては教育、雇用の機会を提供することが大事です。日本に残る人たちがいれば活躍の場を作ることが必要ですし、ウクライナに帰国する人には、日本との交流に携わる人が多くなるよう期待しています。

【前編】糸口見えぬロシアvsウクライナの停戦、もはや「第3次世界大戦型」陣営に分かれた戦争になりつつある

西村 卓也(にしむら・たくや)
フリーランス記者。札幌市出身。早稲田大学卒業後、北海道新聞社へ。首相官邸キャップ、米ワシントン支局長、論説主幹などを歴任し、2023年からフリー。日本外国特派員協会会員。ワシントンの日本関連リサーチセンター“Asia Policy Point”シニアフェロー。「日本のいま」を世界に紹介するニュース&コメンタリー「J Update」(英文)を更新中。