最大の問題は石丸自身が立候補しないことである。私は、新党を作った経験もあるが、戦(いくさ)に大将が出陣しないで子分が勝てるはずはない。昨年の都知事選のときは、本人が候補者だったからSNS効果も出たのである。ところが、今回は立候補しない。これでは選挙を馬鹿にしているとしか思えない。戦国時代と同じで、戦はそう簡単に勝てるものではない。
再生の道は、都議会議員の任期を2期8年に限定するが、それが何の意味を持つのか。8年で都政に習熟できるわけではない。3期12年でも、4期16年でもマイナスばかりではあるまい。また、党の政策を掲げず、候補者が自由に政策を展開してよいとしているが、これでは政党の体をなさないし、有権者を馬鹿にしている。
既存政党を否定するだけのポピュリズムは、健全な民主主義を育てないどころか、民主主義の墓掘り人となる可能性がある。
再生の道は、参議院選には、選挙区に1人、比例区に9人を擁立するというが、あまり大きな期待は持てそうもない。
国民民主党は伸びるのか
先述したように、国民民主党は、現有議席はゼロであるが、10を超える議席を獲得すると見られている。自民党に批判的だが、立憲民主党や共産党には投票したくないという有権者の票を集めることが予想されるからである。
ところが、103万円の壁問題で大きく伸びた支持率は、このところ陰り気味である。
JNNの調査(5月31日、6月1日)によると、国民民主党の支持率は6.8%で前回よりも3.4%下がった。一方、立憲民主党は、2.6%上がって8.2%となり、国民民主党を逆転した。
その原因は、候補者公認問題である。知名度が高く集票が期待される候補を安易に集めたようである。その典型は山尾志桜里であり、不倫問題が有権者の反発を買い、彼女は公認を取り消された。その他にも足立康史ら複数の候補が問題視されている。

さらには、玉木代表の「えさ米」発言も響いている。都議選で、予想するほどの議席を獲得できなかった場合、参議院選挙も同様な結果となる可能性がある。

以上のように、二つの台風の目が大きく育たないとすれば、ほくそ笑むのは石破自民党である。