最終的には学生の「自己責任」
飯吉:そうですね。分野や授業科目の内容にもよりますが、知識習得の評価を中心とする一問一答形式の設問や穴埋め問題は減少し、自由記述によるレポートは増加する傾向にあると言えます。卒論や学位論文などもありますし。
本当に生成AIを使わせたくないのであれば、リアルの場に学生を集めて、電子機器の持ち込みを一切禁止して、監督教員の監視の下で、紙にペンでレポートを書かせる、という厳格な方式を取るしかないと思います。
──多くの大学では生成AIの活用に対してガイドラインを定めています。基本的には、授業の担当教員に「使ってはいけない」と明示された時のみの利用が禁止されていて、それ以外は自由に使って良いということなのでしょうか。
飯吉:基本的には学部や研究科、さらには各授業を担当する教員に一任されている場合が多いと思います。大学としては生成AIを活用したほうが、学生が伸びる授業もあるし、生成AIに完全依存すると全く知識が身につかない語学やプログラミングなどの科目もありますから、「生成AIの全面禁止」とはなかなか言えません。
ただ、教員に一任されていると言っても、ガイドラインを厳格に運用しようと思えば、とても骨の折れる作業になります。1つのコースの中において、「今回の授業では使ってはいけないが、次回は使ってもOK」という指示を与える必要もあるからです。
そうなるともう面倒だと思う先生は「お前ら、高い授業料を払って大学に通っているのだから自分で考えろ」と指示して、生成AIをどう使うかについては、完全に学生の自己責任とする人もいます。
──先ほど、生成AIの発展で、大学教育のあり方自体が問われているというお話がありました。確かに、生成AIは色々な知識を授けてくれますし、その知能も毎月のように向上しています。