石破政権の苦悩
コメ価格高騰、江藤農水相更迭に加えて、年金関連法案の先行きも大きな不安材料となっている。
年金改革法案の焦点は、基礎年金の底上げ策の取り扱いである。この底上げは、厚生年金の積立額を流用するものであるが、それはサラリーマンの負担を増やすとして、自民党は削除した。参議院選挙を控えての配慮である。
これに対して、立憲民主党は底上げ策の復活を求めている。5月22日に、自民党、公明党、立憲民主党の3党による修正協議が始まったが、着地点が見いだせるのか。今国会で法案を成立させるには、今月末までに衆議院を通過させないとならない。まさに綱渡りの国会運営である。
6月22日には都議会選挙がある。都議会自民党にとっては、パーティー券の裏金問題の影響で、容易な選挙ではない。さらに、7月には参議院選挙が行われる。2つの選挙は連動する。結果次第では、日本の政治に大きな地殻変動が起こる可能性がある。
少数与党とはいえ、石破政権の無策ぶりが目立つ。立ち振る舞いも含めて、首相は国民に明るさと元気を届けなければならない。海外に行ったときに、外国の首脳と互角なエレガンスが必要である。石破首相には、それを演出できる側近が不在なのか。