築11~15年のマンションは供給数が少なく状態もいい

 では、なぜ築11~15年なら満足度の高い売却が可能なのか。それにはいくつかの理由が挙げられる。

 第一に、築11~15年のマンションは物件数が比較的少なく、希少性が高いという点がある。それだけ売り主有利の市場環境になる。

 築11~15年といえば、2010年から2014年に建設されたマンション。不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンション供給数は2000年前後までは年間7万~8万戸台だったのが、2010年には4万戸台に減少して、ピーク時の半分ほどに減ってしまった。

 築年数の長い物件ではなく、築15年までの比較的状態のいいマンションは絶対数が少なく、そのぶん仲介市場におけるライバルが少ないので、有利に早く売却できる可能性が高いわけだ。

 第二に、2010~2015年にかけては、マンション価格がまだ落ち着いていた点も見逃せない。

 首都圏の新築マンション価格が急激に上昇し始めるのは2015年以降のことで、2010年代の前半は首都圏全体の平均価格は4000万円台で推移していた。それが2010年代の後半から急上昇を始め、2020年には6000万円台に突入し、2023年には8000万円台まで上がってしまった。

 つまり、築11~15年のマンションに住んでいる人は、今から思えばリーズナブルな価格で購入できているわけで、その後の高騰の恩恵を受けて、購入時価格より高値で売却できる可能性が高い。売却益が出ている人が多いのは、前述した通りだ。

 精神的にもゆとりをもって売却できるので、買い手との交渉にも余裕をもって応じやすく、契約がスムーズにまとまりやすいという面があるのではないだろうか。