コンサルティング会社のマッキンゼーを皮切りに数々の外資系企業を渡り歩き、独SAP、仏ルイ・ヴィトンといった企業の日本法人の経営をかじ取りしてきた藤井清孝氏。
藤井氏が新たな挑戦の場として選んだのは環境ビジネスだ。米ベタープレイスの日本法人社長として、電気自動車用の充電インフラを提供するサービス展開に着手した。
『グローバル・マインド 超一流の思考原理』では、過酷な資本主義の世界を目の当たりにし、その中を生き抜いてきた今までの経験をもとに、ひ弱になった日本人と国際競争力を持たない日本企業に対して厳しい応援メッセージを送る。
環境ビジネスの当事者の目には、環境分野における日本企業の可能性と同時に、国家的な戦略の欠如が目につくようだ。藤井氏は本書で次のように記述する。
<「環境」「エネルギー」のテーマは、主要国にとっては非常に戦略的な意味合いがあるのである> <日本の指導者で、このようなダイナミズムを本質的に理解し、骨太な発信をされている方は何人おられるだろうか>
日本の技術力が真の国際競争力を身につけていくためには、どのような手を打てばいいのか。藤井氏に聞いた。
日本市場は資本主義のプレッシャーが弱すぎる
──本書では、環境やエネルギー、電気自動車といった分野で、今後、日本が世界のリーダーシップを取れる可能性があると唱えています。日本がリーダーシップを取るためのポイントは何でしょうか。
藤井 日本はどの産業を取っても、日本の市場規模の割に同じようなことをやって参入している会社が多いですよね。半導体にしても、車にしても、家電にしても、日本にはたくさんの同じような会社があります。一般的に、そうした会社が日本市場で切磋琢磨して鍛えられて、海外に出ていくという構図です。そういう会社がお互いに競争しすぎないようにすることでしょうね。
従業員が30万人規模の日本の大きな会社って、営業利益率が軒並み5%程度なんです。世界的に見たら、そういう会社は普通は生き残れません。
米国のように弱肉強食の資本主義が厳しく働いていると、営業利益率が5%ぐらいの会社は株価が低迷しますから、必ず誰かに買収されてしまいます。そして分解されて、事業分野をフォーカスした会社にされてしまうわけです。