万博の大動脈となる大阪メトロ中央線「夢洲駅」のホーム。過大な負担が懸念されている=1月18日(写真:共同通信社)

メトロに過大な負担…2~3分ごと発車でも混雑率140%

 アクセスルート不足が引き起こすもう一つの課題が、来場者の交通手段だ。

 2024年12月、万博協会は「来場者輸送具体方針」の第5版(最終版)を公表した。先述したピーク時来場者数22万7000人が利用する交通手段を、大阪メトロ中央線13万3000人(58.6%)、主要駅や空港から会場へ直行するシャトルバス・中長距離直行バス2万6000人(11.4%)、自家用車・団体バス・タクシー6万8000人(30%)と計画している。

 大阪メトロ中央線での来場が約6割を占める想定だが、その負担は第3版から第5版へと改訂された1年ほどの間に9000人も増えた。逆に、駅・空港からのシャトルバスなどは3万5000人から9000人減り、バスの減少分を大阪メトロが補う形になった。

 これに対応するため、大阪メトロはピーク時の1時間当たりの運行本数を24本に増発。2~3分ごとに発車させるダイヤを組んだが、それでも混雑率は140%に達すると見込まれており、「駅ホームにおける安全・円滑な誘導、2~3分間隔の定時運行に課題が生じるため、混雑率を抑制する必要がある」と指摘されている。

 バス輸送を減らしたことについて、大阪市の横山英幸市長は24年12月の記者会見で「バスですから、運転される方の確保の課題」と運転手不足を挙げたうえで、メトロの負担増加については「詳細までは報告を受けていないが、市内(のメトロ乗客)がパンク状況になるという話ではない。(会期の)終盤に向けてさらに人が増える想定になった時に、どのようにしていくのか検討しながら混雑緩和を目指したい」という認識を示した。

 災害や事故が起こった場合の交通機関の対策はどう定められているか。

 鉄道や道路が事故や風水害・地震等で通行止めになるリスクに対し、「来場者や事業者・管理者との間で情報収集・提供すべき内容や、代替となる輸送手段・経路の選択等について、関係機関との役割分担を明確にしたタイムラインを策定するとともに、関係機関とも共有する」という方針だが、「代替となる輸送手段・経路」をどう確保するかという根本的な対策には触れていない。